【論文・研究解説】 ニキビ後の赤みはレーザーで改善できる?
ニキビ後の赤みはレーザーで改善できる?― DPLと1064nm Nd:YAGレーザーの比較研究より ―
福岡県久留米市の”まさあき耳鼻咽喉科と美容のクリニック”です。
本コラムでは、ニキビ後に残る赤み(ニキビ後紅斑)に対する治療について、最新の医学論文をもとにわかりやすく解説します
ニキビが治ったあと、
赤みだけがなかなか消えずに残ってしまうことでお悩みの方は少なくありません。
この赤みは「ニキビ跡」ではなく、
ニキビ後紅斑(Post-acne erythema:PAE)と呼ばれる状態で、
近年では光・レーザー治療によって改善が期待できることがわかってきています。
本コラムでは、
医学的研究をもとに、ニキビ後の赤みに対する治療法を医師の視点で解説します。
ニキビ後の赤み(PAE)とは?

ニキビ後紅斑(PAE)は、ニキビの炎症が治まったあと毛細血管の拡張や炎症反応が残存し赤みとして肌に残る状態を指します。
✔ シミ(色素沈着)とは原因が異なり
✔ 美白治療だけでは改善しにくい
という特徴があります。
ニキビ後の赤みに効果があると報告された治療法
近年の臨床研究において、
以下の2つの治療法がニキビ後紅斑に有効であると報告されました。
① DPL(IPLの一種)
主に血管由来の赤みに作用
比較的早期に赤みの改善を実感しやすい
② 1064nm QスイッチNd:YAGレーザー(低出力)
赤みの改善に加え
肌のハリ・引き締まり(真皮リモデリング)にも効果が期待される
色素沈着リスクを抑えやすい
研究結果のポイント
この研究では、どちらの治療でも赤みは有意に改善、最終的な赤み改善効果は両者で同等。
Nd:YAGレーザーでは肌の弾力・質感の改善がより良好という結果が示されています。
また、治療に伴う色素沈着や色抜けなどの重大な副作用は認められず、安全性の高い治療であることも確認されました。
当院の治療方針
当院では、ニキビ後の赤みに対して
・赤みの強さ
・炎症の残り方
・肌質・色調
・色素沈着リスク
を総合的に評価したうえで、
出力を抑えたレーザー治療を中心に、安全性を最優先した治療を行っています。
「自然に赤みを目立たなくしたい」
「将来の色素沈着を避けたい」
といった方にも配慮した治療設計を行っています。
よくある質問(対策)
・ニキビ後の赤みは自然に消えますか?
軽度であれば時間とともに改善することもありますが、
数か月以上続く場合は治療を検討することで改善が早まる可能性があります。
・何回くらい治療が必要ですか?
赤みの程度によりますが、
複数回の治療を行うことで徐々に改善していくケースが一般的です。
References
Comparison of the Efficacy of Low-Energy Delicate Pulsed Light and Q-Switched 1064 nm Nd:YAG Laser in the Treatment of Post-Acne Erythema: A Prospective Randomized Split-Face Study
Lasers in Surgery and Medicine (2025 Sep 9.[1] Online ahead of print)
Hongshan Liu, Luyue Zhang, Ziyun Gao, Jingchen Liang, Yuxin Ma, Youbao Li, Jing Liu, Weihui Zeng
